宣言も明けたし、そろそろ遠出でもしてみようかと、ノソノソ動き出す。 何せここ2年近く、サドルに跨っても近場のポタリング程度でお茶を濁す日々。 別に何かが溜まっているわけでは無いが、少しは身近な場所から離れ、青空の元、美味しい空気を胸いっぱい吸い込みたいではないか… と、いう気分だ。 行き先は… そうだな、こういう時、頭に浮かんで来るお気に入りの場所が一つある。

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で、いきなりお昼ご飯の光景から始まる今回のツーリングではある(笑) 実は車で現地近くまで行き、そこから予約してあった食事処まで自転車で走ろうと画策していたのだが、途中渋滞で時間ギリギリとなってしまい、そのまま車で店まで乗り付けたという次第である。

訪れたのは、彩の国は小川町下里にある「分校カフェMOZART」。 廃校となった下里分校の一部を改装してカフェとして営業しており、自転車乗りにもよく知られた存在である。 店名のMOZART(モザート)は、おそらく下里(しもざと)に由来するものであろう。ぐらいの想像は私にもつく。

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今回選択したランチは「日替わり下里定食」、場所が学校なので、それを反映して給食風の見た目となっている。 事前にサイトのメニューで見ていた印象では量的に少し物足りないかなと予想していたが、どうしてなかなかボリュームもあり、こだわりの有機野菜をふんだんに使ったヘルシーなご馳走で満腹に。 食後は美味しい紅茶もいただいて、実に満足のゆく時間を過ごす事が出来た。

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食べた後は腹ごなしも兼ね、少し校庭を散歩。 この分校は何かのアニメの聖地ともなっているらしいが、赤い屋根がなかなか好ましく可愛い佇まいだ。 この日は平日なので見学に訪れる人も少なく、静かな校庭に秋の日差しがポカポカと暖かく降り注いでいた。

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というわけで、本日は以前からのお気に入りで何度も訪れている、槻川(つきかわ)の流れに沿った下里や遠山あたりを散策してみようというわけである。 嵐山渓谷の駐車場まで車で移動し、そこからサイクリングを開始する。 ここ「嵐山渓谷観光駐車場」は、昔からあった駐車スペースの脇に新設されたもののようで、敷地も広く立派なトイレもあって有り難い。

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久し振りの走りなので、ゆっくりと体を慣らしながらペダルを漕ぎ出す。 まずは今来たルートを戻る形で「下里の滝」方面へ。 畑の中にどこまでも続く一直線の道が気分を上げてくれる。 滝そのものは槻川対岸にあるなかなかのガッカリ観光地(笑)なのだが、ここはむしろ周辺の長閑な風景を楽しむべきだろう。 この日は、車で来たシニアなご夫婦(自分だって充分シニアであるが…)二組ほどが、土手の上に座ってお昼を食べていた。

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自分もしばらく槻川の川岸に佇んでのんびりした後、下里を後に遠山へと向かう。 下里も遠山も四方を低山に囲まれた盆地状の地区であり、中央を車道が貫いているが車は滅多に通らないから自転車向きのエリアと言えるだろう。 下里と遠山の間はちょっとした狭隘な渓谷となっており、走って行く道路の左手は山が迫り、右手は川岸の崖である。

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それも数分で、川の蛇行に沿ったカーブをいくつか曲がれば、すぐに遠山の里にストンと飛び出す。 遠山にも「遠山甌穴」というちょっとした見所があるが、私は何度か見に行っているので今日はパス。 甌穴(おうけつ)とは、川の流れで岩に窪みが出来、そこに小石などが入り込んで中を転がり、徐々に穴が大きくなって行くもので「ポットホール」とも呼ばれる。 地学に興味がある人には面白いかも知れない。

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その先は、そのまま車道を走って行ってもすぐ駐車場に着いてしまうので、一本山側の道へ分け入り、そちらを進むことにした。 ここは山裾を巻いて行く道で中央の道路より少しだけ高い位置にあるので、盆地全体が良く見渡せる。 「遠山十本桜」というお花見ポイントもあるので、春には花見客で賑わうのかも知れない。

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ポタポタと進むうち、行く手遠くに黄色い絨毯が見えて来た。 遠目には菜の花畑のように思えるが、それは季節的におかしい。 近くまで行くと花ではなく稲穂?か麦?かとも思われたが、麦秋というのは夏の事だからこれも時期的には変だ。 まぁ、あまり深く考えずに(笑)景色だけ堪能して帰って来たが、黄金色に輝く束の間の草紅葉を楽しむ事が出来た。

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そんなこんなで、下里・遠山の長閑な風景の中を行ったり来たり、しばらくのんびりと堪能して本日の走りは終了~。 自転車を走らせるより、景色を眺めつつ佇んでいる時間が長いという僅か2時間弱のポタリング。 私としては珍しく食事の方に重点を置いた、久しぶりに心からリフレッシュした充実のひと時となった。