輪行指南旅・越生編

2010/10

Icon 友人U氏の輪行練習を兼ねて、軽く埼玉方面を走る事にした。 集合場所は北朝霞駅前、JR武蔵野線と東武東上線の交差する乗換場所だ。 彼は北区某所からそこまで自走、私は武蔵野線で輪行、そこで合流し東上線に乗って目的地へ向かう。 輪行袋を買ったもののまだ一度も自転車を詰めた経験のない氏のために、駅前広場で輪行指南を行なう事にしたのだ。

当日は時間通りにうまく合流でき、多少手を油に染めつつ分解も進んで行ったのだが、はたと困ったのは袋に収めようとしたらハンドルが飛び出してしまった事。 私のロード用と違いマウンテンサイズを買った筈だったので、もう少し余裕があるかと思っていたんだが、ハテ…。 とりあえずむき出した部分を輪行袋のカバーで覆い、東上線の急行に乗り込んだ。

Photo

今回の相棒U氏。ライムグリーンのクロスバイクを駆る

Icon 本日の行き先「越生(おごせ)」へは、坂戸で越生線に乗り換えれば小一時間ほどの旅程。 到着した越生駅はJR東の管轄で、境界となる跨線橋途中と改札口の2箇所で簡易改札機にタッチが必要。 これを誤ると、ケースによっては迂回ルートでICカードから膨大な乗車賃が引かれてしまうという罠が潜んでいるのでご注意あれ。

組立を始めると駅前をブラブラしていた老人に声をかけられ、しばし自転車の説明に花が咲くのも輪行ならではのお約束事項。 少しお手伝いしたもののさすがに初回という事で30分位かかってしまったが、U氏の自転車も無事組立を完了した。 駅裏のスーパーで食材を買出し後、飯能へと向けていざ出発だ。

Icon 道はそのまま県道を進んでしまうと交通量も多く自転車向きでないので、すぐに分岐して山の手方面へ進む田舎道へとハンドルを切る。 ここらは関東平野の端っこにあたるので、当然ながら西へとずれるとそれだけ山裾の派生尾根にかかり、それを乗り越える坂の傾斜が増すという法則が成り立つ。 今日の坂は2箇所位と事前に説明していた手前、「まだこれは坂じゃないからね!」と相棒U氏をだましつつ、そのわりにジンワリと背中に汗が滲んで来たので着込んで来たトレーナーを丸めてリュックに放り込み、Tシャツ一枚になる。

しかしこの界隈のゴルフ場の多さは異常だ。 丘を登ると必ずと言っていいほどクラブハウスへの分岐路があり、立派な道が続いている。 ピークのゴルフ場入口ゲート前で息を整えつつ、「きっと監視カメラに怪しげな男二人が映ってるかもよ」等と会話を交わす。 そこからビューっと下って太い通りへ出た。 右手を見ると緩い坂道が山の方へと続いている。 「ちょっと登ると鎌北湖だけど…?」 最初の予定には入れてなかったコース、半分冗談で誘惑してみたら「行きましょう!」と予想外の力強い答え。

Photo

静かな湖畔の鎌北湖。人造湖だがその佇まいは落ち着いている

Icon 自転車ビギナーの頃、一人で初めてここへ走って来て、ダムまでの登り坂には難儀したな… などと、昔の事を懐かしく思い出す。 坂は一瞬で終わるという記憶があったが、意外とダラダラ曲折して続き、登り切って息を整えるのにしばし時間がかかった。 後からやってきたU氏の勇姿(!?)を何食わぬ顔で写真に収めた後、二人揃ったところで湖岸のベンチで大休憩。 静かな湖面に周囲の緑が色濃く映っている。 湖畔に昔からあるユースホステルは今もやっているようだ。

鎌北湖から田園地帯へ、先ほど登った坂をダァーっと下る。 ペダルも踏まずに出るスピードが緩まった頃、ちょうどお昼時となって毛呂山総合公園の芝生広場でお弁当を広げた。 買って来た「黒糖いなり」を食べたら「前もそれでしたよね」と言われてしまった。 自分でも意識してなくてたまたまなんだけど、黒糖好きか?オレ。 食後はマッタリと、秋の青空のもと広場で遊んでいる親子連れなどを眺めつつ「幸せな光景だなー」と思わず言葉が口をつく。 そこからは再びゴルフ場銀座の間を抜け、途中で遭遇したセメントコンベアー(Yルート)等の解説をしながら日高市の高麗神社までやって来た。

Photo

高麗神社大鳥居前のタイマーショット。普段はほぼ素通りなのだが、今回初めて中までお邪魔

Photo

聖天院本堂は山の中腹にあり、その前の舞台からは付近の眺望が素晴らしい

Icon 高句麗から帰化した王族の高麗若光を祭ったこの高麗神社(こまじんじゃ)、なかなか立派である。 いつもは大きな鳥居の前で一休みする位だが、今日は少し境内を拝見させていただく。 奥手には重文の高麗家住宅なども保存されていて興味深い。 付近にはこの神社と対を成すように建つ聖天院(しょうでんいん)もあるので、そちらも訪問してみた。 拝観料を払って階段を登り、山腹にある本堂へ行くとその正面の広場は清水の舞台のようになっており、見晴らしが大変よろしい。

Icon 最後に立ち寄ったのは曼珠沙華の名所として付近では有名な巾着田(きんちゃくだ)。 観光客でごった返す花のシーズンは既に終わってしまったが、かえってノンビリ散策出来るのでツーリング途中に休憩するには好都合だ。 田んぼの真ん中には観光用の水車小屋があり、高麗川の水を落としてゴトゴトとまわっている。 もう一つの名物であるコスモスがまだかなり残っており、しばし可憐な花に囲まれた里山の空気を堪能した後、帰り道を飯能市街へと向かう。 本日最後の坂を登り、駅に着いたら自転車分解の復習だ。

Photo

巾着田はちょうどコスモスの花盛り。花畑の中に腰を下ろすと、その向うには日和田山が

[ コースマップ ]


light touring report
ButtonBack to Bike Page