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天空の花畑

秩父高原牧場のポピー畑を訪ねる (2013/06)

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さて、ここでお昼にはまだ早いので、ポピー畑を後にして尾根筋へと一人登りだす。 花畑は尾根から少しだけ下った所に位置するので、最後のひと登りをもがけば後は快適なスカイラインとなる。 勢いで一気に登って上の道と合流した所で息を整えていると、下からロードの若者がダンシングで追い付いて来た。 「こんにちわー」と声をかけると、「きついっすねー。もっと坂ゆるくしてー」と嬉しそうに叫ぶ彼。 でもそのまま脚を着く事もなく走り去っていったのは、さすがにローディだけの事はあるな。

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一息ついたところで尾根上の道を北へと向けて走りだす。 この山の上の方は大体が秩父高原牧場の敷地となっており、牧草地の広がる開放感ある眺めが展開して気持ちいい。 少し進むと「彩の国ふれあい牧場」という秩父高原牧場内の観光施設がある。 そこの売店でお約束のソフトクリームを食べたが、なかなか濃厚なミルクとクリスピーなコーンが美味かった。 東屋のベンチで休んでいるとロードの人がまた1名「こんにちわー」と休憩にやって来た。 話を聞けば熊谷からここまで走って来たそうで、これからグリーンラインの方まで周って帰るという健脚ぶりだ。 別れ際に「ポピー畑が見頃ですよ」と教えてあげたが、たぶん彼は脇道には目もくれずに突っ走るだろう。

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右に東秩父村、左に皆野方面の景色を眺めながら、天上の快適なワインディングロードを走る。 途中で放牧されている黒毛牛の写真を撮っていたら、ファインダーの中でギロリと大きな目に睨まれた。 二本木峠を越えて少し登り返し、再び下ると釜伏峠、峠を越える道と私の走っている尾根道が十字を成している。 十字路の脇には釜山神社もあり、付近は大きな樹木も茂ってちょっと荘厳な雰囲気である。 ここでお昼でも良かったが、何だか畏れ多い気もしてさらに先へ進む事に。

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そこからは急坂の下りとなり、つづら折れを何度か繰り返すうちに山の中腹に張り付いた集落へと飛び出す。 道沿いに廃屋が並んでいるが寂寞感はあまりなく、景色も開けているので明るいカラッとした空気が感じられる。 下っている途中で「日本水」という看板が目に飛び込んで来たが、スピードに乗っていたのであまり気に留めず通過してしまった。 あとで調べると名水「日本水(やまとみず)」の給水所があったようで、道理で行列が出来ていたわけだ。

集落の外れに緑の小広場があったので、そこまで下ってようやくお昼にする。 といっても、食べるのは今朝ほどコンビニで仕入れて来たお握り2個だけ、至ってシンプルである。 私は一人でツーリングする際に、食事をしに店へ入ることは滅多にない。 基本的に店の無いような所ばかり走っているせいもあるが、お外で風を感じながら食事をしたいという思いが強いのだ。 食後はデザートのチーズケーキ、そして緑に囲まれ独り静かに珈琲を淹れて味わう、なんと極上の時間ではないか。

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さらに下ると風布の集落中心部へ降り立った。 風布と書いて「ふうっぷ」と読むが、何だかアイヌ語っぽくて北海道的な地名にも思える。 谷間の鄙びた村だったようだが、現在は皆野寄居バイパスの寄居風布インターチェンジが出来て静寂は破られた。 そのインター入口の少し先に「日本の里 風布館(やまとのさと ふうっぷかん)」というのがあった。 ここではそばうどんなどが供されているようで、多くの車で賑わっていた。 風布川に沿ってしばらく森の中を下ると、最後に波久礼駅前にある(何故か)寄居橋の袂へ出てここで荒川を渡る。 あとは並走する秩父鉄道の貨物列車を眺めながら、一路R140を寄居駅へと向かったのだった。

Courtesy http://f-tpl.com