甘利山
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2006/11

自転車にとって一年で一番いい季節なんだが、グズグズしてるうちにすぐ過ぎ去ってしまうのもまた紅葉シーズンの常である。 今年も少し出遅れてしまった感があるが、かねてより登ってみたかった甘利山を初探訪。 全般に穏やかな気候だったが、お山の上の方はガスってて、トレーナーにマイクロフリースのウインドジャケットでは少々寒い位の気温だった。

中央本線は韮崎駅前を9:30頃スタート、コンビニで買出しの後、釜無川を渡って反対斜面に取り付く。 行く手にはこれから入ってゆく山塊がどっしりと控えているが、まぁあまりあせらずジックリと登る事にしよう。 河岸段丘の坂のあたりはまだ街中だが、ちょうど道普請の真っ最中で片側通行の箇所多く、交通整理のオッチャンが「ハイ、ラストチャリ確認よろしく〜」とトランシーバーに告げながら旗を振って通してくれる。 県道を越えると一転して周囲は田園地帯、「甘利山」の案内板をくぐると、そこからいきなりの急登が手ぐすね引いて待っていた。

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沢の入口あたりにはちょっとしたダムがあり、車で来た男性が一人、リアハッチを開けてランニングの準備中。 彼には途中で後ろから「ちわー」っと元気に抜かれたが、その後二度と追いつける筈もなく、私はただ黙々とペダルを漕ぐのみである。 林道のお約束として、最初に沢のドン詰まりで折り返すまでは激坂が続く。 だがしかし、ここはそんな生易しいもんじゃなく、つづら折れに入っても一向に坂が落ち着いて来ないのだった。あぁ、きつ。 振り返ると沢の切れ目には、もう遥か下になった韮崎方面の街並みが霞んでいる。でもこれでまだ序の口。

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登っているうちに遠くから救急車のサイレンが聞こえて来たが、それが突然大きく谷全体に響き出し、この沢に入って来たのがわかる。 どうやら頂上で病人でも出たようだ。2〜30分程その音を鳴り響かせた後に私の脇をすり抜けていった救急車、その後も同じ位の時間、頭上でサイレンの音が大きくなり小さくなりで山々にこだましていた。 さらにしばらくして「レスキュー」と横腹に書かれた赤い特殊車も追い抜いていったので、山道で遭難騒ぎでもあったのだろうか。 そうこうしてるうちに、ようやく標高は1,000mを超えた。

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漕いだり休んだりでどうにか椹池(さわらいけ)に到着したのはちょうどお昼頃。 自転車を置き、静かな池畔まで落ち葉を踏み締めて降りて行く。 紅葉は既にピークを過ぎて全体に茶がかっていたが、一部に目の覚めるような真っ赤やまっ黄色の葉が残っていてひときわ鮮やかであった。 すれ違った中年のご夫婦に「こんにちわー」と挨拶を交わした以外は、全く物音のしない静寂の空間をしばし満喫。 空はササーっと薄い雲がたなびき出し、というよりこの山のあたりが雲に覆われ出しているようだ。

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30分程散策の後に、再びサドルに跨る。 池は標高1,200m近辺なので、上の駐車場まではあと400m程の登りだ。 しかし、何か今日は調子が今ひとつで足が回らない。 というより、ここんとこの運動不足がたたっているのだと思うぞ、実際。 すっかり曇ってしまい、踏ん張って漕いでる割には一向に体が温まらず、逆にさっきまでかいてた汗がジワリと冷えて来て、こりゃいかんと下り用に持参のジャケットをあわてて着込む事になった。

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終点間際になってもちっとも平らにならない林道に業を煮やしつつ、乗ったり休んだり、押したり休んだり、休んだり休んだりでどうにか蝸牛の歩みを進めて行く。 堆肥にでもするのか、大きな袋を持って落ち葉拾いに余念の無い老夫婦に「あれ、こんなとこまで自転車で。がんばってー、おにいさん」と声援されるが、息絶え絶えに「どーもぉ〜(お兄さんじゃないけど)。」と返答するのがやっとの体たらく。 一時半頃、ようやく駐車場の車が見えて来て、ロッジ前の広河原へと飛び出した。

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さっきからお腹がグーグーと鳴っていたが、登り着くまでは我慢とエナジーゼリーをチョビチョビ吸いつつ、ハンガーノックに見舞われないように持たせて来た。 やっとここでお弁当だが、何故かあまり食べられずにお握り一個と食後のホットレモンだけで済ませてしまった。 少しあたりを散策するも、霧っぽくて全体が湿っており、どうもあまり快適ではない。 このガスでは空身で頂上まで行っても展望は期待出来そうにないし、時間も予想以上にかかってしまったので、着た道をユルユルとおとなしく下る事にする。

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といいつつ、結局ガンガン下りに下って人里へと降り立てば、空気もやわらかいし午後のお日様も暖かく照っている。 電車の時間も気になる所だが、ここらの村はずれでちょっと午睡でも貪って行きますか。

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 おみやげのモミジ
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