去年よりペンディングとなっていた河津桜を見に、夫婦で伊豆へ小旅行。 決行したのは2月下旬、地元YouTuber さんの開花状況を参考にしつつだが、それ以前に頃合いを予測して特急の予約をしてあったのであまり柔軟に行く日を変更出来なかった。 今年は寒波によって例年になく開花が遅くなり、河津桜まつり も会期が一週間以上延ばされたほどなのだ。
東京駅から久し振りに乗るのは、今や貴重な東京始発の特急電車「踊り子5号」である。 事前にえきねっとで購入しておいたチケットレスの指定席へ行くと、おばさん二人が席を占拠している。 確認してもらうとあちらが一列間違って着席してしまったようで、スタートからやれやれであった。 座席上方にはランプがあり、緑=予約、黄=この先予約、赤=空席、だそうである。
10時ちょうどに発車し、品川、川崎、横浜、大船、小田原、湯河原と東海道を小まめに停車。 室内に目を移すと、向こう側の赤ランプ席に座った乗客をカミさんが「あれ、ズルしてる?」と訝っている。 前席背面に貼ってある説明書きに、座席未指定券の人は赤ランプ席に座るよう書かれているので、無賃乗車では無さそうだ。 熱海から伊東線に入り、伊東からはいよいよ伊豆急行線となる。 天気は快晴、左手には水平線上に大島が見えている。
12時半少し前に河津駅着、高架ホームから階段を降りて改札を抜ける。 ここまでの乗車賃はスイカのタッチ一発で完了だが、大人の休日倶楽部メンバーである相方は事前に購入した割引切符で通り抜けた。 駅舎を出ると駅前にはロータリーが広がっている。 ここもやはり海外からの観光客が多いようで、様々な外国語が飛び交っていた。
駅から徒歩5分程で河津川に出る。 河津の桜は、ここ河津川沿いの桜堤が代表的な名所となっている。 両岸に桜並木が続いているが、出店などで賑わっているのは主に左岸側になる。 やはり開花には少し早かったようで、このあたりは5分咲き以下といった感じに思えた。
ところで、お昼を過ぎているので本格歩きの前にちょっと腹ごしらえを。 笹原公園付近から河津川を少し離れて東の方へ歩くと、踊子花街道沿いに 河津観光交流館 があり、2階が食堂となっている。 行ってみると入口に満席の札がかかっていたが、すぐに空席が出来て案内され助かった。 ここでは釜揚げしらす丼セットをいただいたが、ご飯の量も盛りが多く満腹となった。
食後の一休みを済ませ、桜堤に戻って歩き始める。 駅付近から上流へと向かっているが、進むほどに桜は満開に近くなって来た。 気温差から言うと下流の方が早く咲き始めそうなものだが、ここは逆の現象が起きている。
豊泉橋(ほうせんばし)手前あたりから再び川沿いを離れ、街道の方にある河津桜の原木を見に行く。 河津町内に住んでいた飯田勝美氏が、1955年頃に河津川沿いで偶然見つけたさくらの苗を庭先に植えたものが河津桜のルーツとなったとの事。 道路に面した少し窮屈そうな場所にあったが、満開で見事だった。
豊泉橋からさらに上流へ向かう。 このあたりは人混みが一段落して屋台も少なくなり、ゆっくりと静かな花見が出来る。
かわづいでゆ橋までで駅から3km弱。 この橋の上から眺める上流の景色が、両岸に桜がギュッと凝縮されていて一番見応えがあった。 まだ山懐へとさらに桜並木は続いているが、ここで折り返す事にする。
帰り道は右岸側に移って歩いたが、遊歩道は左岸より若干狭い。 途中、桜がトンネル状になっている区間があるが、こちらはまだ開花が遅れており少し残念な状況。 だが、樹々の間から眺める対岸の桜が美しく、目を楽しませてくれるのは良かった。 駅前に戻り、電車の時間までカフェで時間を潰そうと思ったがどこも満員で、仕方なく駅前広場一角のベンチで二人寒風に吹かれながらコンビニコーヒーを。
帰りの踊子は臨時便の64号、往路はE257系2000番台だったが、こちらは緑塗装の5000番台だ。 どちらも種車は同じ0番台からの改造で、中央線時代には「あずさ」で何度も乗った経験があり懐かしい。 夕暮れ迫るホームは帰り客で少し混雑していた。
乗車して席で発車を待っていると、外人親子が目の前の通路に来て怪訝な顔をしている。 えっ?と思って自分のチケットレス画面を確認、「あっ、しまった」と気付いた。 トイレに近い席を取った関係で隣り車両の7号車ドアから乗車したのだが、連結を抜けて8号車に移動したつもりが実はそこは6号車だったというオチである。 編成の号車が頭の中で逆順になってしまっていて勘違い、手振りで謝って席を立ち移動した。 来る時に席を間違えられて憤慨したのに、帰りに自分が同じような過ちを犯すとは情けない。
踊子64号は熱海を出ると横浜まで無停車、グングンと駅を飛ばして快走し、19時前には東京駅に到着だ。 お土産の伊豆急珈琲「うみまちブレンド」は伊豆急のグループ会社が出しており、河津駅構内の売店で3種セットを購入したもの。 それぞれなかなか香り高く美味しい珈琲であった。(終)