[ 山交Top | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | Popup Map ]

  山梨交通鉄道線 YAMANASHI TRAMWAY [5]  

Photo

□今諏訪付近

開国橋を渡ると線路は一旦堤防を下り、向こうの段丘上にある次の駅「今諏訪」へと水田の中の築堤を登って行く。冒頭で触れた「山梨交通鉄道線回想録」に、この開国橋を渡りきった所で撮られた一枚の写真がある。鉄橋を越えた電車が、ちょうど青柳へと向けて走り去って行く場面だ。

鉄橋を抜けた線路は、右手の道路に寄り添いながら、一段低い田んぼの中へとゆるい勾配を下って行く。上空の架線の向こうには、遠く南アルプスの山々が白い頂を見せている。線路は道路の左側を専用軌道で走っているが、ここで斜めに県道をクロスして渡り...、というより数十メートル程が併用軌道となっている感じだが、その先で右側へとそれて再び専用軌道に入って行く。ちょうどその長い踏切に電車が差し掛かる所だが、驚いた事に道路との境に遮断機はおろか警報機も見当たらない。唯一、線路の外側の田の中に、頼りなげな警戒標識が一本「RAIL ROAD」の標記と共に立っている。そして道路の方には親子連れらしき自転車が二台、同じ方向へ進む電車をやり過ごそうとしているところだ。

Map

そんな長閑な風景が展開した場所、そしてこの地点の現在の姿は...、想像を絶する変貌ぶりを見せている(写真上)。実はこれだけの変化を与える要因となったものがあるのだが、それについてはこの後もう少し走った地点で触れたい。今はその頃の道路は左へ分岐する形になり、逆に電車道の方が本道となっているが、右へゆるくカーブして坂を上って行くさまは当時の軌道を髣髴とさせるものがある(幅は全然違うが)。

Photo
15. 今諏訪駅跡
Photo
16. 今諏訪西の切り通し
(歩く3、P.84の地点Fあたり)

山交線の再急勾配40‰を登りきって到着するのが、崖上の今諏訪。日中の閑散時は唯一、列車交換が行なわれる駅だった。現在は勾配を緩和した四車線の道路に掘り下げられてしまった為、駅と同一面にあった神社の木立ちが切り通しの上から見下ろしている。坂の途中にある「上今諏訪」というバス停が今諏訪駅のあった所だそうだ(写真15.)

そこから青柳方へ駅を出外れたあたりは、当時から若干の切り通しとなっていた。「鉄道廃線跡を歩く3」で"電車が走って来そうなムードが残る..."と表現されていた区間だが、今や高速道路かと見紛う程の立派な車線が横たわる。ここは少々期待して来たのだが、現実の風景は残酷で、これでは電車の姿を想像するべくも無い(写真16.)


ButtonBack to Rail Page