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草生す線路の風景

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再び道路に戻り、その次のブロックへと進みます。公民館の隣には、狭い土地一杯に大きな工場が建っており、その横には砂利敷きの駐車場。陽射しはそれ程強くないけれど、さすがに真夏の事とていささか暑くなって来ました。ちょうど駐車場に自動販売機を見付けたので、ガチャンと音をたてて缶コーラを一本。すると、その音に気づいたのか、しばらくして事務所の方から作業帽をかぶった初老の男性が出て来ました。



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私は思い切って、この裏手に駅か何かありますかと尋ねると、彼は愛想を崩し、無言で手招きをしつつ歩き出します。慌てて、飲みかけの缶をグイっと飲みほし、空き缶入れに放り込んで後を追うと、男は既にタンクの脇をすり抜け、駐車場奥の梯子を登っています。私も続いて登りながら良く見ると、まさしくそこがホームへの階段となっていたのです。



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小さなホーム上にはこれまた小さな上屋と、その向こうには工場から出て来ているクレーン。工場は結構新しいようですが、ホームの上屋の方はかなり古ぼけていて何だか屋根もドッシリとしています。それもそのはずで、男性の言う事にはここはかつて支線の旅客駅だったが、その後電車は廃止となり、駅舎と駅前の敷地を利用してこの工場が建てられた。だがホーム上の待合室は倉庫がわりに残されたそうなんです。しかも驚いた事に、この線はまだ貨物線として活用されているというではありませんか。どうりでレールの表面が微かに光っていたわけだ。



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