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〜 2.鉄塔を探せ 〜

 そこからさらにキラキラ光る湖を左手に眺めつつ、いくつか橋を渡りトンネルを抜けて、やっと川野へと到着。ここはトンネルを抜けたすぐ先だが、左手が小広い駐車場になっていてその奥に商店、右側も道路に面してお店がある。どちらも一昔前にはドライブインと呼ばれたような雰囲気の造作ではある。商店脇の小径を登って行くと、いきなり檻の中の犬達に吠えられた。これは廃線跡探索ニストの宿命なのか。でもその先には静かな道が続き、目の前には錆付いた鉄塔(支柱)が出現した。

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鉄塔その1

 見上げたそれにはちゃんとワイヤーがかかっており、湖からの風を受けてじっと立ち尽くしている。ずっとここでこうしていたんだね...、ふいにそんな台詞が浮かんできて苦笑しつつ、誰も来ない道の真ん中で私もしばらくの間赤茶けたそれを見上げていた。

 さて核心の駅を見に行こうとその先へ進むと、いきなり私有地となり立入り禁止のロープが行く手を阻む。おかしいなぁ、この上にあるはずなんだけどと思ったがそれ以上は行けず、すごすごと下の駐車場へと降りてきた。まぁいいや、帰りにもう一回寄ろうかという事で、今度は対岸の三頭山口駅を見に行く。

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ワイヤーと対岸の周遊道路

 奥多摩周遊道路へと向う道すがら、左手を良く見れば空中にか細いワイヤーが何本か架かっているのが判る。意識しないと全く気づかないが、運行を休止して以来、ずっとそのまま放置されているものなのだろう。R411から信号を左に折れ、橋を渡って周遊道路入り口へ。目の前には有料道路時代の「廃」料金所が道の真ん中にまだ残っている。脇の斜面が何やら白いなと見ると、何と日陰は大部分が残雪に覆われているのだ。数日前に降った雨が、こちらではしっかりと雪になってあたりを白銀の世界にしたようだ。料金所裏手に駐車場があるが、そこの入り口もまた凍った雪でアイスバーン状態になっており、すべらないようにおそるおそる自転車を押して中へと入る。

 駐車場の奥には二基目の鉄塔が... この形式は何と言うのだろう。地面は駐車場のレベルより少し掘り下げられた所からニョキっと建っている。あるいは後から駐車場が出来て、その基準面の位置が高かったせいで段差になってしまったのかも知れないが。湖を渡ってきてこの鉄塔に纏わりついている索条、その先は... と追ってゆくと、あゃ、何だあんなとこにもう駅が。周遊道路の向こう側の石垣のすぐ上に、三頭山口駅がパックリ口を開けてへばり付いている。ホームの端部には、セピアのフィルターを透かしてみたような色のゴンドラが、すっかり枯れ果ててぶら下がっている。

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鉄塔その2

 自転車を駐車場に置き、駅へ向かうため道路を横切ろうとした時、遠くで鳴っていた音が急にハッキリ大きくなったと思ったら、目の前を救急車が猛スピードで風張峠の方へと向って疾走していった。そういえばここは昔から事故が多くて、救急車のメッカだったョなぁと思い出す。休みの日に来ると、救急車の音を聞かない日は無いくらいだ。(皆さん安全運転しましょうね)

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