July 2018

京成小岩 ~ 小岩(JR)

京急の品川駅で次の電車に乗り換えて泉岳寺、そこから都営浅草線を経由して押上へ抜け、京成線に入って高砂へ。 ちなみに品川からここまで乗車したのは、直通する北総鉄道の編成である。 というややこししい界隈なのだが、高砂からは純粋な京成電車に乗って一駅目の京成小岩で下車。 次のミッションは、ここからJRの小岩駅へと乗り換えるのだ。 京成本線は江戸川を渡って千葉県内に入ると、総武線と少し離れた位置をキープしつつ並走する様になるが、このあたりはまだそこへ向って徐々に距離を詰めて行く途中で、JRとの間はかなり離れている。 なので、実際の所は徒歩乗換に全く向いていないというのが結論となる。

京成小岩駅

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現在は2面4線の追い抜き可能駅だが、昭和7年の開業当時は2面2線の対向式ホームだった。橋上化されたのは昭和38年と古く、この時に退避設備も設けられた

京成小岩駅改札口

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駅舎内は機材としては新しく良く整備されているが、建屋全体は年季が入っており、作りが古い。特に床面の疲労が激しいようなwww

では、いきなり結論の出た所で(笑)敢えての乗り換えを開始したいと思うが、京成小岩は今回初めて改札を出るので、まずは駅を少し観察してみよう。 ここは京成にしては珍しく直線区間の続く真っ只中にあり、ホームもカープしておらず、綺麗にシンメトリーな待避線が上下線とも島式ホーム外側に配置されている。 駅開設時は退避設備の無い単純な対向式ホームだったようだが、その後、お隣の高砂駅を補完する目的で、昭和38年にこの様な構造に変更された。 各方面行きや入出庫が錯綜する高砂で捌き切れない列車をこちらで引き受け、特急退避や緩急接続を行なう為なのである。

階段を登って改札口へ、駅舎は京成内でも比較的早くから橋上化されているので、昨今の建屋からすると垢抜けない昭和なティストだ。 改札を出て、とりあえずトイレの表示を追って左手へ進むと、JR方面とは逆の北口に出た。 形ばかりの駅前広場にはバスが1台発車待ちしているが、ロータリーも無くかなり手狭な感じである。 その片隅にある公衆トイレで用を済ませ、それから周辺を少し散策する。 駅前に懷かしい佇まいのスーパマーケット、そして古い建物の個人商店が居並ぶ様は、まるで昭和30~40年代にでもタイムスリップしたようだ。 路地裏の小さな横丁もあったりして、ちょっと立石駅前の雰囲気にも通じるところがある。

京成小岩駅北口

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申し訳程度しかない駅前広場は茶色い舗装の部分、その外側は道路である。大型バスが転回する余地は無さそうだが、停車位置へはどうやって?

京成小岩北口駅前

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ひと昔前の私鉄沿線駅前といった風景が展開する北口周辺。商店の軒先に絡まるツタの緑がいい味を出している

では、乗り換える為の駅南ロの方はどうなっているのかと、グルリと迂回して高砂方の踏切を渡る。 線路南西側のエリアに入り、調剤薬局の脇から路地へと突き進んで行くと、さらに駅前は狭く… というより駅前自体が無いに等しい有様だ。 駅舎から降りて来た階段が申し訳なさそうに、車も入って来られない様な路地裏でひっそりと口を広げていた。 きっと、列車の退避設備を設けた際に敷地を使い切ってしまい、駅前も建て込んでいて余地が無くなったんだなと想像出来る。 このあたりも連続立体化の構想があるという話だが、都営団地跡への移転が目論まれている高砂の電車基地の関連もあり、なかなかおいそれとは実現しないだろう。 おっと、駅前探索に時間をとられて乗換を忘れてはいけない。

高砂方踏切より駅構内を望む

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典型的な追い抜き駅の構内配線を持つ京成小岩。待避線を分けた奥手に片渡りが見えるが、かつて小岩折り返しのスジがあった名残りだ

京成小岩駅南口

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JR線乗り換え方面(勿論、乗換は想定してないだろうが)となる南口。いわば京成小岩駅の正面玄関だが、この控え目な(笑)佇まいは何だ?

南口から表通りへ出ると、そこは柴又街道。 新道という事ではあるが、上下1車線ずつの狭い通りに大型トラックやバスがひしめいている。 細いながらも一応歩道が確保されているのは唯一の救いだ。 そして、街道という事もあり、昔から営業しているらしき造りの商店が、道路に沿ってそこここに店を開いていた。 銀鏡店、焼き鳥屋、八百材屋、古い建物の金物屋店先には、天井から作業服を着せたマネキンの下半身だけニョキっと出ているディスプレイがあって、一瞬ドキッとさせられる。 ガラス戸の奥に祠が収まっている建物もあり、「えっ」と思ったが、どうやら祀ってあるわけでなく売り物らしかった。

柴又街道の商店

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見たところ、昔からそこにある、地域に根差した古い個人商店が多い。街道なので車の往来は激しいが、いちおう商店街の体を成している

柴又新道入口交差点

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操車場のハンプ状に盛り上がっている柴又新道入口交差点。その向こうの総武線を越えていた名残りだが、今は高架となって快速のE217系が通過中

排気ガスにまみれつつしばらく歩くと、前方にようやく総武線の高架が見えて来て、蔵前橋通りとの交差点「柴又新道入口」に至る。 その交差点の場所だけ周囲より少し地形が高くなっているのは、地上線時代の総武本線を跨線橋で越していたアプローチの名残なのだとか。 信号を渡り、高架下の側道へと右折すれば、後は線路に沿って駅まで真っ直ぐ。  …ではあるのだが、ここからが結構ダラダラと長くて、加えて暑さにもやられ疲労困憊となってしまった。

JR総武線高架下

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高架下の側道は歩道も狭く、風通しもよろしくない。この時間帯は日陰も無く、陽射しに照らされながら駅を目指してひたすら歩く

小岩駅北口

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JR駅前としては然程広くないものの、人通りが結構多い印象の小岩駅北口。駆け抜けて行くN'EXを見送る親子像の台座には「やさしさと思いやり」の文字が

日陰を選びつつ、北ロ目の前に店を構えるヨーカドーを目印にテクテクと歩き続け、乗降客のひしめく駅前へと辿り着いた。 あとは改札を入れば乗り換え任務完了となるが、私は切符売場の前を一旦スルーして南ロへ。 実はここ小岩駅は、親戚でもあり、かっての父親の動務先でもあった工場の最寄り駅なのである。 その場所は駅前の停留所からバスに乗ってだいぶ南下した先だが、私も小さい頃に何度か連れられて行った事があるので、ここの風景は何となく記億に残っていて懐かしい。 高層の建物も立ったが、基本的に駅前から放射状にいくつもの商店街が延びる風景は変わっていない。 そういう意味では京成小岩もJRの小岩駅も、一昔前の駅前風景を感じられる情緒ある場所と言えるのかも知れない。

小岩駅南口

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こちらがメインの南口駅前広場。立派なロータリーがあり、数多くの路線バスがひしめいている様は、国鉄時代の駅前風情を想起させる

小岩駅ホーム

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総武線の都内最東端となる小岩駅、高架のホームは各駅停車用のみで、快速は脇を通過して行く。高架下にはショッピングセンター「Shapo小岩」が入っている

ちなみにこの日はこの後、曳舟へまわろうと考えていたのだが、あまりに暑くて疲労度が増し、結局スルーしてしまった。 考えてみたら、「電鉄乗換駅の風情」で既に若干レポートしているので、そちらで代えるという事でご容赦を願いたい。

所要時間★★☆☆☆地図上約17分(今回約40分)
便利度★☆☆☆☆歩道の狭いバス通りの移動
面白度★★★★☆昭和に浸りたいなら両駅共最適