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[ 訪問:2018/07 ]

5. 日豊本線

この旅最後の朝、5時起きして部屋で軽くパンを貪り、5:40頃にはチェックアウト。 朝食バイキング付きのプランだったが、この時間では食堂がオープン前で無理である。 今日は18きっぷで小倉まで行き、そこから新幹線で東京までワープとなる。 山陽本線の不通区間のみ最低限の新幹線利用に留め、その先は再び18きっぷという案もあったのだが、「鹿児島から東京まで普通列車で帰る」という事業が成しえないなら、あまり意味が無いと考えた。

Photo 早朝の延岡駅。駅は近代的だが、駅前はどちらかと言うと殺風景だ

宿を出ると空は曇っているが、幸い雨は止んでおり地面もほぼ乾いている状態。 交差点の信号を渡って目の前すぐの広場から駅に入り、改札で初老の駅員氏に日付を入れてもらう。 「どちらに行かれますか?」「えっと、小倉?まで」「でしたら、1番線でお待ち下さい。今入っている特急が出た後に参ります。まだ少し時間がありますが、ホームに入られますか?」なかなか丁寧な応対をいただいた。

改札を入ると目の前の乗場には787系の特急「ひゅうが」が体を横たえ、静かに発車を待っている。 旭化成の社員輸送車とも言われるこの列車、こんな早朝から運行されているのもその為だろうか。 宮崎空港への専用ヘリが事故を起こして以降、空港線建設や日豊本線の高速化にも寄与している大企業である。 一般家庭にはラップ製品の製造元ぐらいの認識しか無いかも知れないが、薬品や接着剤等、産業向けの製品では私もかつてお付き合いのあった会社だ。

Photo 6:10発佐伯行き普通列車が入線。やって来た車両は特急用の787系であった
Photo 787系の普通:佐伯行き。前方に誰もいない特急車の車内はシンとして静かだ

宮崎行きの「ひゅうが」が出た後の、6:10発佐伯行きに乗車。 南延岡始発でやってきたのは同じく特急用の787系だった。 「え!これに乗っていいの?」と思ったが、安房鴨川あたりの、特急車を普通列車運用する区間みたいなものかな?先頭1両のみが普通列車として運行され、それ以降の編成は締め切り扱いだそうだ。 延岡から乗り込んだのは私の他に1名のみ、特急のリッチな車内をほぼ貸切状態で占有し、電車は曇天の下を北へ向けて快走した。

Photo 宗太郎駅を発車。ここに停車して客扱いするのは、今やこの列車を含め1日2本のみ

宗太郎越えのどこだったか、佐伯までの間で途中25kmの制限がかかっている箇所があったが、車内から見ていると線路脇近くまで土砂が流れて来たのを土嚢で食い止めており、その先の区間が少々危ぶまれた。 が、それからは特に制限はなく定刻通りに佐伯駅に到着。 ここで次の中津行きまで30分程待ち時間があったが、駅では特に案内がなく、このまま何の問題もなく小倉まで行けるものと楽観していた。 だが、それは少々甘かったのだ。

Photo 佐伯駅に到着。少し時間があるので駅前に出てみたが、昭和テイストの駅舎だった
Photo 折り返しの中津行きが到着。ここからは純粋な通勤車での移動となる

定刻通りに発車した中津行きに乗車してしばらく後、電車は段々と徐行が多くなる。 ここで車内アナウンスで初めて、この先で今朝ほど倒木があり、復旧はしたもののダイヤがまだ乱れているという事態を知った。 さてどうしたもんか。 次の中津で小倉行きに30分の待ち合わせ…は、当然遅れても接続待ちをしてくれる筈だ。 が、小倉で新幹線乗り換えにとってある30分は、こちらが特急列車ならまだしも、名もない(!?)普通列車では待ってくれないだろう。

Photo 815系中津行きの車内。固定式大窓にロングシートがズラリと並んでいる

8時を過ぎると車内はラッシュアワーの様相を呈して来た。 忘れていたが、そう言えば今日はもう月曜日である。 今は大分方面へ向かっているので、そろそろこのあたりから通勤圏に入ったという事なのだろう。 列車は私の心配をよそに、特に急ぐでもなく淡々と走って行く。 大分、別府を過ぎて車内も一段落し、国東半島の根元を横断して山中から平野部へ、着いたのが「宇佐」駅。 別段意識してはいなかったが、車窓にフレームインして来た駅名標を見たら「USA」となっていて思わず笑ってしまい、これはネタとしていただいた次第。

Photo 宇佐駅。全国の八幡宮総本社である宇佐神宮の最寄り駅でもある

途中、行き違いや後から来る特急の退避で一度に3本位待った駅もあったが、大分あたりからは線路も複線となり、幸い中津には20分の延着で済んだ。 中津の発車は接続する特急を待って12分遅れだったが、終着の小倉では多少回復して10分程の遅延に収まった。 だいぶヤキモキしたものの何とか新幹線の乗り遅れは回避され、小倉駅で昼飯を仕入れる余裕も出来て、綽々でホームへと上がって行ったのである。 新幹線の高架ホームは気持ちいい風が吹き抜けており、台風一過の青い空が清清しい光景を見せていた。

Photo 小倉駅新幹線ホーム。ここまで来てようやく、スカッと晴れた青空が姿を見せた
(おわり)