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- ニュータウンの駅 -

ここから先が未乗区間だ。 電車は大森台を出てしばらく走ると南へと進路を取り、丘陵地や谷戸的な地形を串刺しにして進んで行く。 外房線の下(どこだか気が付かなかったが)を潜り、再び街並みの中へ入るとすぐに学園前駅となる。 この駅と次の一駅、そしてJR鎌取駅の3つに囲まれるように広がっているのがニュータウン「おゆみ野」である。 時々「あゆみの」と誤記されている例も見かけるが、付近に生実町(おゆみちょう)という地名があるのでそこからの命名なのだろう。

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三角屋根の学園前駅舎

数名の降車客と一緒に橋上の駅舎へ上り改札を抜ける。 駅は崖下にホームがあり駅舎は崖と同じ高さだから、改札を出て東側へ行くと同一平面で目の前が駅前広場だ。 一方の西側は崖下に千葉明徳学園の中学、高校、短大キャンパスがあり、スロープになった通路を降りるとそのまま敷地へと入って行く。 まさしく学園前の駅名にも頷けるが、ほんとうは明大が来る予定だったという話もあるようだ。

天気は悪いが、おゆみ野ニュータウンの雰囲気を少しでも味わおうと、駅を出て東の方角へと歩きだす。 ポカポカ陽気ならのんびり散歩と決め込めるのだが、残念ながら今日は雨中の行軍である。 それも風が結構強くなって来て、油断をすると傘がおちょこになりそうだ。 駅前には体育館状の大きな建物があって、中から何やら声援が聞こえて来る。 表示を見ると、屋内のテニススクールの様である。

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おゆみ野ニュータウン 中通り地区

信号を待って大通りを渡ると、その向こうには小奇麗な集合住宅の並ぶ風景が広がっていた。 一部の街区は道路が碁盤目でなく、自由曲線を引いたような道になっているのが面白い。 緑多い公園もあったが、さすがに雨の平日、昼日中、誰も遊ぶ人は見かけなかった。 しばらく歩きまわって駅へ戻って来ると、電車を降りてからちょうど20分、下のホームで発車音が鳴っている。 次の電車でいいかと思い、もう少し駅前を観察する事にする。

先ほどは気が付かなかったが、駅前ロータリーを挟んでテニススクールの体育館と向かい合う位置に、何だかオシャレなカフェの様な建物が立っていた。 ここで少し休憩してもいいかな?と敷地に沿って進んで行くと、建物の開かれた大きな扉の前でリハーサルらしき事をしている何人かの人達。 聞こえて来る会話の内容からすると、どうやらここは結婚式の出来る商業施設なのかな?という事で、入店はちょっと気後れしてしまって差し控えた次第。

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学園前駅で列車交換が行なわれる

- 何もない終点 -

その裏手の公園などをブラついて時間を潰した後、駅に戻ってホームへと降りる。 すぐに逆方向の電車がやって来て、ここで交換待ちをするようだ。例によってホームは対向式だが、こちら側は裏手にもう一本、退避用の線路を通せそうな感じもした。 やがて下りの電車もやって来て、温かいロングシートに落ち着く。 車窓はしばらく街並みが続くかと思いきや、途中で鬱蒼としている森の脇を通過したりして面白い。 次のおゆみ野駅はどうしようかな、と思う間もなく電車はホームへ滑り込む。 駅は立派そうだけれども駅前に何も無い雰囲気だったので、そのままスルーさせていただいた。

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上り線側未使用の おゆみ野駅ホーム

おゆみ野駅を発車した電車は、ニュータウンを南北に貫くように走る県道に寄り添って走り、ゴルフ場とソーラー発電パネルの間を抜けるといよいよ終点のちはら台である。 上空を路面に覆われて薄暗いホームに到着し、電車から外へと足を踏み出す。 何人かの客は席に座ったまま降りる気配がなかったが、車内でバスの時間待ちでもするのだろうか。 駅はホームが切り通しの中、改札口は地上にある。 やたら広い駅前広場に周囲の視界を遮るものはほぼ何もなく、ロータリーで数台のバスが客を待っているのみである。

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ちはら台駅前風景。高いビルはマンションだ
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ホームは2面3線化が可能そう

商業施設など見るべきものは特に無いのだが、私は激しさを増す風雨の中を線路の終端部を観察に。 駅の先で線路はプッツリ途切れ、暴走止めのバラストに覆われているのが見えた。 だが路盤はもうしばらく先まで続いており、その向こうに広がる田園風景へと切り開かれていた。 その田園の対岸にある辰巳台には駅を作る用地も確保されているというが、果たしてそこまで、そしてさらに先へとこの線が延伸される日は来るのだろうか。 京成電車に「海士有木」などという行先表示が出たら、読めない人がきっと続出する事だろうが。

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線路終端部の先にも広い路盤が伸びる
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寒いから帰ろう…京成電車に乗って
終わり

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