てどうしよう。行こか戻ろか。結局、今トンネルまで行って来た以上の高低差をあらためて登り返す元気はなく、ましてや手持ちの食料も無しではあきらめざるを得ない。

 しょうがない、湿原は逃げるわけじゃなし(逃げるかな?)、また次の機会にしようか。針生を後に、舗装道路を下り出す。

 すぐに坂道は尽きて、地上に降り立つ。国道を一本それて、村々をつなぐ里道へ。広い谷の田園の中、どこまでも続く直線道路。あたりは人里の暖かい空気に満ち満ちている。

 途中で田島町の重要文化財、南泉寺の楼門などを見ながら、駅へと向かう。

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里道はのんびり走れる。
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南泉寺楼門。もう冬支度かな。
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田島町にて。そろそろ駅も近い。

 津田島駅まで戻り、とりあえず腹ごしらえという事で構内の売店で買った松茸弁当を駅前のベンチで広げる。ん〜、ちょっとトホホな味だゾ、値段の割には。松茸スライスも透き通り気味だし。
 まぁ、いいか。今回の情けないツーリングの結末を飾るにはいい落ちだ。

 あとは自転車をたたんで、会津線車中の人となる。しかしこんな場所で、「浅草行」と行き先を掲げた快速列車がしずしずと入線して来るのを拝めるのは、なかなかに感動もんである。
 レールがどこまでもつながっているというのは、すごい事なんだなぁと今さらながら思う。

 初めて乗る野岩鉄道のスリリングな車窓も楽しめたが、東武線に入ってから栗橋あたりで平野の彼方に沈んでいった太陽も、とても感動的な光景だった。

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あぁ、お腹が減った。
 
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